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実践マーケティング

MARKETING SENSE

【例題】東京の自由が丘はマーケティングセンスが無いと生き残れない

 
 
 
 
本講義は、前講義でお話したマーケティング調査の注意点を、さらに深く理解頂くために、実際ある場所で説明します。その上で、最終的に出店シュミレーショントレーニングを行って頂きます。
 
 
前講義で、マーケティング調査が物体観察だけで終わるから、開店後に失敗する原因になる。この点を商人道義塾の講義、実践マーケティングでは理解して頂こうと思っています。
これが、最も分かりやすい場所が、東京にある自由が丘駅周辺です。
 
しかし、あなたの職場や住居から、東京都目黒区自由が丘1丁目が近くない。あるいは、土地勘がないから、自分には分からないと、がっかりすることはありません。
 
あなたの職場や店舗、住居の近くでマーケティング調査する際にも応用が利くようにお話します。
 
重要なのは、講義目的になります。
 


講義目的

 
◇ なぜ物体観察だけで終わると失敗するのか。その原因を学ぶ。

◇ 心理観察の必要性は、安易な感情論ではない。実践的な方法論だということを知る。
 
上記を踏まえ、例題の答えを自力で完成させる。
 
 


 
 
東急東横線 自由が丘駅の周辺を、なぜ例題にしたのか。その理由から話しましょう。
 
自由が丘駅周辺は、出退店が頻繁に行われます。自由が丘駅周辺で商売を長く行うことは簡単ではありません。
 
業種で営業継続の難しさに違いがあるかと言えば、そう簡単な土地ではありません。
 
外食業でも長く続けている店があれば、一過性の人気で終わる店もあります。
長く続く服飾雑貨店があれば、開店時しか人が集まらず退店する店もあります。
 
自由が丘駅周辺は外食は難しい。小売は難しいと業種で説明がつけば簡単なのですが、しかし、業種の違いは、直接的な関係はないと見ています。
 
それでも、有利だと思う業種があります。子供教育向けです。
学習塾やダンス教室などは、固定客がつくと安定的に継続しています。その理由は、富裕層が多いため、子供一人あたりの教育費が多い。我が子に複数の習い事をさせることができる人達が多く住んでいるのです。
 
では、なぜ何十年も長続きする店と、数年もせずに無くなる店があるのか。原因がどこにあるのか。これを気づくことが重要になります。
 
 
閉店になる原因をお話しする前に、一度、自由が丘駅周辺が、どのような土地柄かを説明しましょう。
 
自由が丘駅周辺は、東京都内でも屈指の人気エリアになります。
渋谷からも、横浜からも来れる立地で、昭和の時代から若者に絶大な人気のエリアです。
近くに大学がいくつもあり、そのため曜日問わず、若者が多くいます。
 
そして、自由が丘駅の隣は、有名な田園調布駅です。そのため、すぐイメージができるかも知れませんが、自由が丘駅に乗り入れる東急東横線沿線と、東急大井町線は、日本有数の高級住宅街を通ります。そのため、自由が丘駅周辺には、東西南北全ての方向に多くの富裕層が住んでいます。
 
高級住宅街というと、具体的なイメージがつきにくい恐れがあるため、簡単に様子をお話します。
 
各家の門扉に警備会社のシールが貼っていない家を見つける方が難しいです。
庭木も手入れが入っていないと思われる家がほとんどありません。
道路にゴミが落ちていることも少ないですし、エリアによっては、自動販売機すらありません。
 
埼玉県や千葉県で、5千万円ほどで手に入る土地付き一戸建ても、自由が丘駅周辺では、1億円でも手に入らないでしょう。
 
ほとんどの家が自家用車を所有しております。大型の家だと複数台所有は当然のこと、全て国産車ではないということも、珍しくはありません。所有する車の総額が、郊外の3LDKのマンションより高いということが、ざらなのです。
 
また大型の家は、門扉の横にポストがなく、裏の勝手口にあるということがほとんどです。それだけ、土地も広いのです。
 
自由が丘駅周辺が、どのような場所か。想像頂けたでしょうか。
 
自由が丘駅周辺は、若者が多い。歩いて数分ほどのところから、日本有数の富裕層が多く住んでいる。ここで商売すれば、必ず成功する。そう思う人が多いのです。
そのため、様々な業種が次から次へと出店します。
 
ところが、自由が丘駅周辺に出店し、失敗する人のほとんどは、この程度の観察で終わるからなのです。
これが、物体観察だけだと駄目という典型的なケースです。
 
物体だけを見れば、富裕層がいる。若者も多い。簡単に、誰でも気づきます。
 
ところが、物体観察だけで出店する人は、致命的なことを見落とすのです。
 
 
自由が丘駅周辺にいる若者と、周辺に居住している富裕層では、何が違うのかを見ていないのです。
単に経済力が違うなどと思ったら、あなたも失敗する人に含まれてしまいます。注意が必要です。
 
 
若者と、近隣に居住している富裕層では、心理状態が全く違うのです。
その結果、ライフスタイルが全く違う為、欲しいものも、必要だと思うものも異なるのです。
この違いに気づくためには、心理観察の必要性が分かっていないといけません。
 
 
逆に、自由が丘駅周辺で商売が失敗する人達の心理をみてみましょう。
 
自由が丘駅周辺の男女比はどのくらいで、年齢比はどのくらいでという程度だけで調査を止め、その上で富裕層が多いから売上も良いだろうと期待だけしている。だから、失敗するのです。
 
物体観察だけでなく、心理観察してみると違うものが見えてきます。
 
自由が丘駅周辺に来ている若者は、近隣の住民とは限りません。そのほとんどは、遠方から来ている観光客に近い存在です。
 
そのため、自由が丘駅周辺の雰囲気を楽しみたいと来ていても、お金を使いたいと来ているとは限らないのです。ここが盲点になっているのです。
道行く若者の手荷物やショッピングスタイルを観察すると、一人でもグループでも、高額商品を自由が丘駅周辺で買うために来ている人の方が圧倒的に少ないことが分かります。成功するためには、この心理を出店前に計算に入れているかが問われるのです。
 
その一方で富裕層の心理は、どうでしょうか。
これは考えても恐らく同じ経済力の人でないと、頭で考えても答えは出ません。そのため、自由が丘駅周辺を直接調査する必要があります。私も頭の中だけでは分からないので、私の場合、乗り物には乗らず、歩き回ります。
 
まず自由が丘駅周辺を肉眼で観察します。近隣の商店街を除くエリアでは、住宅街を歩く人、自転車に大荷物を載せている人をほとんど見ません。歩いている人は、犬の散歩か。健康のための運動目的です。
したがって、買い物に歩いて行く人の方が圧倒的に少ないことに容易に気づきます。
 
実際に観察していると、シャッターガレージが開く。中から自動車がでてきて。買い物が終わり、帰宅すると、そのままガレージに入るという生活スタイルの家の方が多いのです。
 
 
ここで既にお分かりになった人もいるかも知れません。
 
 
前の講義でもお話したように、若者にも来て欲しい、富裕層にも来て欲しいと出店する人ほど、マーケティングセンスが無い。それは、商売はターゲットを曖昧にすると成功するための難易度が急激に上がるからです。
 
無論、これを分かった上で出店すれば状況は違います。
菓子屋、パン屋や食品スーパーなどであれば、若者も富裕層の顧客もきて頂きたいと考えて、ごく自然です。
それでも、注意は必要です。自由が丘駅周辺の喫茶店と、コーヒーチェーン店では、同じコーヒーを出し価格帯が近くても、客層に違いがあります。自社自店の状況を注意深く観察していないと、直ぐさま足をすくわれることになります。
 
 
 


 
名誉のために名称は控えますが、ここで実際にあった例を出しましょう。
 

数年前に、ワインを中心とした大型酒店が自由が丘駅周辺にオープンしました。私は、開店間近に視察に伺いました。そこで、この店は長続きはしないと弊社の者に話しました。
 
その店はどうなったか。今はありません。
 
長続きしないと思った理由は、物体観察しかせずに出店していることは、容易に分かりました。
なぜなら、自由が丘駅周辺に来る若者が、自由が丘で酒を買って、時間をかけ電車に乗り帰宅することは考えにくい。恐らくないでしょう。特にインターネット通販になれている世代なら、重い荷物を持って移動することを好まないはずです。
 
その一方で、近隣の富裕層が、お酒を手に持ち、あるいは自転車にのせ帰る確率も低い。
先ほどお話ししたように、ライフスタイルが違うからです。
その店には、駐車場がない。そのため、富裕層客も、ほぼ来ないと判断しました。
 
その上、店内は陳列がキレイなだけ。それでも大型店のため、種類は豊富です。しかし、飲まなければ分からない商品陳列方法でした。
 
飲まないと分からないとは、買わなければ分からないということです。買って頂くまでが大変なのが商売です。
したがって、置いてあるだけでは、なかなか売れないのです。特に高級品は、敬遠されやすくなります。経済力に関係無く、多くの人は、失敗や損をしたくないという心理が強いからです。
 
この店の問題は、豊富な品揃えが、販売のあだになるということが計算に入っていませんでした。
ワインがメインであるのに、ソムリエバッチをつけているスタッフもいないのか、店員はパートタイムと思われる酒の知識の無い素人でした。
これでは、種類が豊富と期待して来店しても、新しい酒との出会いがない。
 
顧客の期待値を裏切るということが、いかに怖いことか分からず出店しているのです。
これが、あだになっているという理由です。
 
致命的だったのは、私の横を店長らしき40歳以上と思われる人が通り過ぎました。
ちらっとこちらを見たのですが、携帯電話で話しながら通り過ぎました。私が、みすぼらしく上客でないと判断したのかも知れませんが、来店客の横を携帯電話で通り過ぎられる心理状態に、既に話にならないほどの問題があります。商売人の適性がない人が社員では、店の造りは良くても、この店に発展はないと分析したのです。
 
 


 
 
 
自由が丘駅周辺に限らず、富裕層顧客をターゲットにしたい場合は、駐車場の役割が非常に重要になります。
ここでのポイントは、駐車場を用意さえすれば良いのではありません。安易に考えると、せっかく駐車場を用意しても来店しないことがあるのです。
 
 
富裕層顧客向けの駐車場は、ドイツ製の大型車のサイズで作らなければなりません。大型車サイズであると、仮に国産車で来店しても、女性ドライバーの駐車時の心理的な負荷が低くなる。無意識に来店動機になります。
この心理を計算に入れるのです。ところが、ご承知のように東京は土地が高い。特に自由が丘駅周辺のような人気エリアでは、駐車場を用意すること自体が、物理的に不可能なことが多いのです。
 
この状態に気づかず、富裕層向けにと、自由が丘駅周辺に店を出しても簡単に失敗するのです。
 

心理観察をせず出店する。これが、閉店の原因です。

 
 
一方、富裕層顧客ではなく、自由が丘駅周辺の若者をターゲットにしたいと考えても、若者は流行に敏感です。そのため、飽きることも早い。
そして何より、今の時代は昭和の頃と違い、物欲や所有欲があまりない若者が多い。
したがって、自由が丘駅周辺の雰囲気は楽しみたい。しかし、お金は使いたくないという心理で来るのです。この状態に気づかず、若者向けの店を出しても簡単に失敗する。これも心理観察せずに出店することなのです。これが、閉店の原因です。
 
 
物体観察だけで止めてしまうと、商人にとって自由が丘駅周辺は宝の山のように見えます。
ところが、若者層と富裕層の顧客では心理状態が異なる。
 
この点に気づき出店すると、けっして自由が丘駅周辺は、簡単な場所ではない。甘い考えでは商売はできない所。この意識がないと簡単に失敗するエリアなのです。だから、出退店が頻繁におこる土地だと分析しています。
 
 
対象顧客の心理状態が異なれば、ニーズやウォンツも違う。この観点にたち、ターゲットの心理観察を行わないと、成功の兆しは全く見えてきません。
だからこそ、心理観察を軽視してはいけないのです。
 
これらの理由から、私は失敗する人が行っているマーケティング調査を物体観察と呼びます。
 
そして、単なる物体観察から、より細かく観察することを、肉眼観察と呼んでいます。
 
 
例えば、自由が丘周辺で言えば、大型の家に住んでいるから富裕層だと簡単に思うのも物体観察に含まれます。
 
細かく観察するとは、「細部」を観ることです。
 
例えば、対象を漠然と見ているときと、凝視して観ている時では、情報量が違います。
 
この感覚に気づきたい人は、絵が下手でも構いませんので「スケッチ」すると良いのです。
ただし、警官から職務質問されるような怪しげな態度で調査することは勧めません。
 
特に、東京の目黒区や大田区は監視カメラが多いです。一般道でも電柱に行政のカメラが設置されているところが多くあります。危機管理サービスが増える時代では、マーケティング調査でも昔と違う注意点があります。
 
どの土地でされても、マーケティング調査は何事にも注意して行ってください。
 
 
細部を観察すると、家全体でなく、門扉の周りに花が飾ってあるかないかが見えてきます。
 
花のあるなしで居住者の心理状態は違います。
さらによく観ると、花を飾っていても、何色の花なのかでも、心理状態が違うのです。
 
さらに詳しく観ると、同じ花でも、ブロッサム(枝に咲く花)かフラワー(花壇に咲く花)かでも心理状態に違いが生まれるのです。
 
自転車を見れば、電動アシスト自転車か否かで、行動範囲も違います。
なぜなら、自由が丘駅周辺は、高低差があり、勾配の有る坂が多いのです。
 
また自転車は、子供乗せが有るか無いか。自転車のカゴは大きいか、それとも普通の大きさか。自転車と言っても1種類ではありません。乗る人のニーズが、外形に表れているのです。
 
自動車も、ただ車種やメーカを見ているだけでは、物体観察になります。
イタリアの高級車であろうが、ドイツの高級車であろうが、高級だと分かる以上の情報はありません。寧ろ、車の値段よりも、製造年の方が情報としては見るべきです。
 
自動車の場合、ナンバープレートの数字が揃っているかいないかでも心理状態は違います。
タイヤのホイールはキレイにされているか。例えば、アウディ製の車でホイールが長期間洗っていない汚れがある場合、愛車という感覚で保有せず、生活の足という感覚なのかと推察できるのです。
 
4ドアセダンの車しか保有していないのか。キャンピングカーのような非日常車があるのか。
あるいは、女性や高齢者が乗りやすいとされている車か。
 
自動車一つでも、見方は複数あります。
 
 
調査対象を細かくみれば観るほど、経験を積むことで、次に行う心理観察が容易になってくるのです。
 
 
心理観察は、肉眼観察と同時に必要があると自覚することが、何より大事です。
 
その上で、この場で心理観察について説明しても、言葉で理解できるほど簡単ではありません。
そこで、次の講義に訓練の方法例をお話します。
 
 


【 例 題 】


あなたが、自由が丘駅周辺に出店する場合、何を基準にして、どのような店舗を出しますか。成功するための脳内シュミレーションを行ってください。イメージトレーニングですから、お金がかかりません。危険無く、何度でもやり直しができます。自由な発想がトレーニングになります。
 
考える事自体が、訓練になります。
考えて悩み、あなたの頭の中に具体的な映像が浮かぶようになったら、今度は本当の実践です。
 
 
あなたの関係する実店舗などで、同じことを実行してください。
今までと違う景色が見えてくれば、成功です。あなたの成功を願います。
 
 
 


 
 

これで講義を終わります。